2023年6月29日に、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) のExtended Life Cycle Support (ELS) 拡張ライフフェーズが延長されたことが発表されました。本発表に関してお客様およびパートナー企業向けに発行されました「RH-2023-013 Red Hat Enterprise Linux ELS期間延長のお知らせ」のレターの内容を交えて詳細を解説したいと思います。
またRed Hat Enterprise Linux7 ELSのよくある質問(FAQ)をまとめています。
- RHEL7 ELS 延長の概要
- Red Hat Enterprise Linux 7 ELSに関するFAQ
- Red Hat Enterprise Linux 7 のライフサイクルについて
- 2024年6月30日にRed Hat Enterprise Linux 7 に何が起こりますか?
- 2024年6月30日にRed Hat Enterprise Linux 7 システムはどうなりますか?
- Red Hat Enterprise Linux 7 がExtended Life Phase に移行するにあたり、Red Hat が推奨する対策は何ですか?
- Red Hat Enterprise Linux 7 を使用していますが、現時点では新しいバージョンに移行できません。どのような選択肢がありますか?
- Red Hat Enterprise Linux 7 のソフトウェアメンテナンス(バグとセキュリティの修正) と完全なテクニカルサポートを継続的に受けるにはどうすればよいですか?
- Red Hat Enterprise Linux ELS サブスクリプションには何が含まれますか?
- Red Hat Enterprise Linux 7 ELS サブスクリプションの提供期間は?
- RHEL 7 ELS サブスクリプションを利用できる Red Hat Enterprise Linux のバージョンはどれですか?
- RHEL 7 ELS サブスクリプションを有効にするには、何を購入する必要がありますか?
- パブリック・クラウドを通じて RHEL 7 ELS を購入できますか?
- Red Hat Enterprise Linux 7 アドオン Red Hat High Availability と Resilient Storage は2024 年 6 月 30 日にどうなりますか?
- Extended Life Cycle Support (ELS) Add-On サブスクリプションを購入しないと決めた場合、2024 年 7 月 1 日に Red Hat Enterprise Linux 7 システムはどうなりますか?
- Red Hat Satellite インストールにはどのような影響がありますか?
- Extended Life Phase と Extended Life Cycle Support Add-On の違いは何ですか?
- Extended Life Cycle Support Add-Onのパッケージと販売方法を教えてください。
- 注意事項
RHEL7 ELS 延長の概要
RHEL7 は、2024年7月1日からELSフェーズに入ります。2023年6月29日、そのELSフェーズのサポート期間を4年間になることが発表されました。ELSが提供される対象はRHELの他、RHEL for SAP Solutions、RHEL High Availability、Resilient Storage Add-onsが含まれます。
4年間のELS 期間を利用するには、RHEL 7.9 を利用している必要があります。ELS for RHEL7 (RHEL 7.9) は、重要なCVE に対処するアップデートを含むことでセキュリティ修正の範囲を拡大します。
また、本発表に際してRed Hat社は、お客様のIT チームが長期的なIT インフラストラクチャ戦略を策定できるよう、Red Hat Enterprise Linux 8 およびRed Hat Enterprise Linux 9 に対して3年間のELS を提供することを発表しています。
Red Hat Enterprise Linux 7 ELSに関するFAQ
本内容は下記のFAQ記事を元に翻訳、まとめを行ったものになります。最新の情報は下記URLのものとなりますので合わせてご確認をお願いいたします。
FAQ: Red Hat Enterprise Linux 7 reaches End of Maintenance Phase and transitions to Extended Life Phase
https://access.redhat.com/articles/7005471
Red Hat Enterprise Linux 7 のライフサイクルについて
Red Hat は、Red Hat Enterprise Linux の各メジャーリリースに対してサポートとサービスを提供する期間を設定しています。詳細は https://redhat.sios.jp/news/rhel7-els/ にて記載しておりますが、RHEL7は2024年6月30日をもってメンテナンスサポート(2)の期間が終了し、延長ライフサイクルサポートのフェーズに入ります。
2024年6月30日にRed Hat Enterprise Linux 7 に何が起こりますか?
2024年6月30日に、以下の表に記載されているすべてのRHEL7ベースの製品がメンテナンスフェーズから拡張ライフフェーズに移行します。
- Red Hat Enterprise Linux Server (All SLAs and Variants)
- Red Hat Enterprise Linux Server Virtual Data Center (All SLAs and Variants)
- Red Hat Enterprise Linux for Power Systems (All SLAs and Variants)
- Red Hat Enterprise Linux for Z Systems (All SLAs and Variants)
- Red Hat Enterprise Linux for SAP Applications (All SLAs and Variants)
- Red Hat Enterprise Server for SAP Solutions
- Red Hat Enterprise Linux for HPC (All SLAs and Variants) )
- Red Hat Enterprise Linux Workstation (All SLAs and Variants)
- Red Hat Enterprise Linux for Distributed Computing (All SLAs and Variants)
2024年6月30日にRed Hat Enterprise Linux 7 システムはどうなりますか?
RHEL7 システムは、引き続きSubscription Manager 経由で「Red Hat Enterprise Linux 7 Channel」にサブスクライブされ、引き続きRed Hat Enterprise Linux のエンタイトルメントが必要となります。サブスクリプションをお持ちの方は以下へのアクセスが可能となります。
- 既存のRed Hat Enterprise Linux 7 デプロイメントに対する限定テクニカルサポート(Premium またはStandard サポートをご利用のお客様のみ)。
- Subscription Manager 経由で過去にリリースされたバグフィックス(RHBAs)、セキュリティエラータ(RHSAs)、および製品拡張(RHEAs) 。Red Hat EnterpriseLinux 7 製品ファミリーのソフトウェアメンテナンス、新しいバグフィックス、セキュリティエラータは提供されなくなります。
- Red Hat Knowledge-base およびRed Hat Customer Portal にあるその他のコンテンツ(ホワイトペーパー、リファレンスアーキテクチャなど)、Red Hat EnterpriseLinux 7 ドキュメント
※ 2024年6月30日以降、High Availability Add-onおよびResilient Storage Add-onについては、新しいバグフィックス、セキュリティ、または、製品強化に関するアドバイザリ(RHBA、RHSA、RHEA)は提供されなくなりますのでご注意ください。
Red Hat Enterprise Linux 7 がExtended Life Phase に移行するにあたり、Red Hat が推奨する対策は何ですか?
Red Hat のサブスクリプションにより、すべてのセキュリティ更新とバグ修正を含む、バイナリとソース形式のRed Hat ソフトウェアのすべてのアクティブバージョンに継続的にアクセスすることができます。
そのため、Red Hat Enterprise Linux 7 がフルサポート/メンテナンスメンテナンスフェーズから移行する際には、サブスクリプションサービスをフルに活用して、最新のハードウェアプラットフォームとISV アプリケーション向けの魅力的な新機能と有効性を含むRed Hat Enterprise Linux 8 または9 にアップグレードすることを強くお勧めします。
Red Hat Enterprise Linux 7 を使用していますが、現時点では新しいバージョンに移行できません。どのような選択肢がありますか?
- Red Hat Enterprise Linux 7 の使用を継続し、上記のサブスクリプションサービスへのアクセスを継続することができます。その場合、ソフトウェアメンテナンスは提供されず、限定的なテクニカルサポートのみが利用可能です(Premium またはStandard サポートサブスクリプションの両方)。
- Red Hat Enterprise Linux 7 の使用を継続し、ELS (Extended Life CycleSupport) アドオンサブスクリプションを購入して、限定的なソフトウェアメンテナンスとテクニカルサポートを引き続き受けることができます。なお、限定的なソフトウェアメンテナンスに関しては、英語版のFAQのELSの詳細をご覧ください。
- できるだけ早くRed Hat Enterprise Linux 8 または9 に移行する。
Red Hat Enterprise Linux 7 のソフトウェアメンテナンス(バグとセキュリティの修正) と完全なテクニカルサポートを継続的に受けるにはどうすればよいですか?
Red Hat Enterprise Linux 7 のソフトウェアメンテナンスと完全なテクニカルサポートが必要な場合は、Red Hat Enterprise Linux 7 Extended Life Cycle Support (ELS) Add-Onサブスクリプションを購入することを強くお勧めします。Red Hat Enterprise Linux 7 ELSAdd-On はRed Hat Enterprise Linux サブスクリプションを補完し、Extended Life Phaseでは利用できないソフトウェアメンテナンスサービスを提供します。
Red Hat Enterprise Linux ELS サブスクリプションには何が含まれますか?
Red Hat Enterprise Linux 7 ELS Add-On サブスクリプションを購入されたお客様は、以
下のRHEL 7 のメンテナンスとサポートを受けることができます。
- 特定のCritical およびImportant セキュリティフィックス、および選択された(Red Hat の裁量) 緊急優先バグフィックスのソフトウェアメンテナンス
- 保守サポート2 フェーズで提供されるテクニカルサポート
- ELS は、RHEL7.9 のマイナーリリースでのみサポートされます
Red Hat Enterprise Linux 7 ELS サブスクリプションの提供期間は?
RHEL7 ELS は、2028年6月30日までご利用いただけます。
RHEL7のみ4 年間のメンテナンス期間を提供しています。RHEL 8 とRHEL 9 のELS期間は3年間です。
RHEL 7 ELS サブスクリプションを利用できる Red Hat Enterprise Linux のバージョンはどれですか?
下記の✔がついている製品、アーキテクチャ、SLAに対してELS サブスクリプションはご利用頂けます。
Offering | Architecture | SLA | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
x86_64 (Intel and AMD) | s390x (IBM Z) – System z | ppc64le (IBM Power LE) | AArch64 (ARM) | Self-support | Standard | Premium | |
Red Hat Enterprise Linux Server | ✔ | ✔ | ✖ | ✖ | ✖ | ✔ | ✔ |
Red Hat Enterprise Linux Server Virtual Data Center | ✔ | ✔ | ✖ | ✖ | ✖ | ✔ | ✔ |
Red Hat Enterprise Linux Entry Level Server | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ |
Red Hat Enterprise Linux for Power Systems | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ |
Red Hat Enterprise Linux for Z Systems | ✖ | ✔ | ✖ | ✖ | ✖ | ✔ | ✔ |
Red Hat Enterprise Linux for SAP Applications | ✔ | ✔ | ✖ | ✖ | ✖ | ✔ | ✔ |
Red Hat Enterprise Server for SAP Solutions /SAP HANA/SAP Solutions | ✔ | ✔ | ✖ | ✖ | ✖ | ✔ | ✔ |
Red Hat Enterprise Linux for HPC | ✔ | ✔ | ✖ | ✖ | ✖ | ✔ | ✔ |
Red Hat Enterprise Linux Workstation | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ |
Red Hat Enterprise Linux for Distributed Computing | ✔ | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ | ✔ | ✔ |
RHEL 7 ELS サブスクリプションを有効にするには、何を購入する必要がありますか?
RHEL 7 ELS を利用するには、同等のサブスクリプション期間とサポートレベルを持つ既存の Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションが必要です。
例えば、RHEL Serverサブスクリプション 1 つ + RHEL ELS (物理または仮想ノード) サブスクリプション 1 つ、RHEL for Virtual Data Centers (ゲスト数無制限) サブスクリプション 1 つ + RHEL ELS
(ゲスト数無制限) サブスクリプション 1 つなどです。
ELS は Red Hat Enterprise LinuxServer サブスクリプションでのみ利用可能で、RHEL 7 の最後のマイナーリリースであるRHEL 7.9 でのみ利用可能です。ELS は、Extended Life Phase の対象となるすべてのRHEL バージョンには適用されません。
パブリック・クラウドを通じて RHEL 7 ELS を購入できますか?
はい、Red Hat はパブリック・クラウド・パートナーを通じて RHEL 7 ELS を提供します。
Red Hat Enterprise Linux 7 アドオン Red Hat High Availability と Resilient Storage は2024 年 6 月 30 日にどうなりますか?
Red Hat Enterprise Linux 7 Extended Life Cycle Support (ELS) には、アドオンの High Availability と Resilient Storage のサポートが含まれています。
Extended Life Cycle Support (ELS) Add-On サブスクリプションを購入しないと決めた場合、2024 年 7 月 1 日に Red Hat Enterprise Linux 7 システムはどうなりますか?
Extended Life Phase の間、Red Hat Enterprise Linux のサブスクリプションでは、Red Hat カスタマーポータル上の過去にリリースされたコンテンツや、ドキュメントや Red Hat ナレッジベースなどのその他のコンテンツに引き続きアクセスすることができます。現在サポートされている Red Hat Enterprise Linux バージョンへの移行に関するアドバイスも提供される場合があります。
Extended Life Phase にある製品のバージョンについては、Red Hat は限定的な継続的技術サポートを提供します。このフェーズでは、バグフィックス、セキュリティフィックス、ハードウェアイネーブルメント、または根本原因解析は提供されず、サポートは既存のインストールに対してのみ提供されます。
Red Hat Satellite インストールにはどのような影響がありますか?
2024 年 6 月 30 日以降も、有効な Red Hat Enterprise Linux 7 サブスクリプションをお持ちのお客様は、Red Hat Enterprise Linux 7 システムのプロビジョニングだけでなく、以前にリリースされたバグフィックス、セキュリティエラータ、および製品拡張を得るためにSatellite を使用することができます。お客様は、Red Hat Satellite に関連付けられたサーバーごとに Red Hat Enterprise Linux エンタイトルメントを引き続き使用します。Red Hat Enterprise Linux 7 の Extended Life Cycle Support (ELS) を購入した Red Hat Satellite のお客様は、RHEL 7 ELS コンテンツセットが利用可能になったときに、RHEL 7 ELS コンテンツセットにアクセスするように Satellite サーバを再設定する必要があります。
Extended Life Phase と Extended Life Cycle Support Add-On の違いは何ですか?
Extended Life Phase の間、Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションは、Red Hatカスタマーポータル上の過去にリリースされたコンテンツや、ドキュメントや Red Hat ナレッジベースなどのその他のコンテンツへの継続的なアクセスを提供します。現在サポートされている Red Hat Enterprise Linux バージョンへの移行に関するアドバイスも提供される場合があります。
Extended Life Phase にある製品のバージョンについては、Red Hat は限定的な継続的技術サポートを提供します。このフェーズでは、バグフィックス、セキュリティフィックス、ハードウェアイネーブルメント、または根本原因解析は提供されず、サポートは既存のインストールに対してのみ提供されます。
Extended Life Cycle Support は、RHEL 7 の最後のマイナーリリースである RHEL 7.9に対して、Red Hat が定義した特定の Critical および Important セキュリティフィックスと、(Red Hat の判断により)選択された緊急優先度の高いバグフィックスとトラブルシューティングを提供するアドオンです。このアドオンは、2024年7月1日から2028年6月30日までご利用いただけます。
Extended Life Cycle Support Add-Onのパッケージと販売方法を教えてください。
ELSはオプションのアドオン・サブスクリプションであり、お客様は有償でサポートを1年ずつ延長することができます。ELSは通常、単年度のサブスクリプションとして販売されますが、複数年契約の一部として複数年分を前もって購入することも可能です。お客様は、ELS Add-On サブスクリプションを購入する前に、すでに Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションの料金を支払っている必要があります。ELS Add-On は Standard またはPremium サブスクリプションに適用され、セルフサポートサブスクリプションには適用できません。
注意事項
ELSは、ELS期間の開始日(RHEL 7の場合は2024年7月1日)より前に購入する必要があることにご注意ください。そうでない場合は、ELSアドオンサブスクリプションをその開始日にバックデートする必要があります。
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