レッドハットの森若です。Red Hat Enterprise Linuxに興味があるけどなかなか手が出せないな、という方は多くいるかと思います。比較的安価なRed Hat Enterprise Linux Workstationでも定価で4万円弱しますのでお小遣いで買うのは厳しいですね。今回は開発者むけプログラムの拡充により、無償で開発者向けのサブスクリプションが入手できるようになったのでご紹介します。
Red Hat Enterprise Linux Developer Suite
従来から開発者向けのRed Hat Enterprise Linux Developer Suite という製品があり、Red Hatのオンライン販売サイトから99 USDで販売されています(日本からもクレジットカードがあれば購入できますが、直販や代理店経由での取り扱いはありません)。
利用目的は開発目的に制限され、サポートへの問いあわせもできませんが、RHELを1台のハードウェア上で、仮想マシン数の制限なく利用できます。カスタマーポータルも利用できるのでナレッジベースの利用も可能です。
「開発目的」がどこまでの範囲かよくわからないという方がいるかもしれませんが、これは契約書内で具体的に定義されており、以下3種類のユースケースのみです。複数ユーザで共用するような場合には利用できません。
Enterprise Agreementの参考和訳より:
- ソフトウェアコードを作成するシングルデベロッパー
- シングルユーザー プロトタイピング、品質保証またはテスト
- 本ソフトウェアとともにもしくは本ソフトウェア上で動作、稼動するソフトウェアやハードウェアの実演
利用可能なユースケースの例:
- 手元で開発作業に利用するノートPCにインストールし、一人でおこなう開発作業の範囲内で利用
- 動作確認
- デモンストレーション
利用不可能なユースケースの例:
- (サーバ用途に限らず)開発用に複数人で利用するシステム全般。
- ソースコードリポジトリ、Issue Tracker、ビルドサーバなど複数人で利用するもの
- 開発、プロトタイピング、品質保証、テスト、実演にあたらない目的全般。
- 維持環境の構築
- トレーニングや学習用
- CADなどでのデザイン業務用 (ソフトウェアコードの作成ではない)
Red Hat Developer Program
Red Hat Developer Programとは、ソフトウェア開発者にRed Hat製品を使って開発をしてもらうことを目的としたプログラムです。 JBossをはじめとするミドルウェアや、コンテナ上で動作するアプリケーションの開発などをトピックとしてblogやチュートリアル、ライブビデオなどで情報発信をしています。このDeveloper Programの特典としてRed Hat Enterprise Linux Developer Suiteが無償で1本提供されます。
1ユーザ登録ごとに1本提供されるので、たとえば10人開発者がいてそれぞれがDeveloper Programに登録すれば10本のRed Hat Developer Suiteが無償提供されます。
申し込みの流れ
ざっと申し込みの流れをみてみましょう。
- へアクセスRed Hat Developers | Red Hat DeveloperJoin Red Hat Developer for the software and tutorials to develop cloud applications using Kubernetes, microservices, ser...
右上の「REGISTER」をクリックして登録開始
登録がおわったら「DOWNLOADS」タブをおして……
必要な製品をダウンロードします。最初のダウンロード時にはDeveloper Programの参加にともなう契約の確認が行われます。
アカウント名を押してパスワード設定やユーザ名の確認をおこないましょう。このUsernameとパスワードでカスタマーポータル(https://access.redhat.com/) にもアクセスできます。
関連リンク
- https://developers.redhat.com/ Red Hat Developers
- http://developers.redhat.com/blog/2016/03/31/no-cost-rhel-developer-subscription-now-available/ 無償Developer Subscriptionの紹介
- https://www.jp.redhat.com/licenses/Enterprise_Agr_Japan.pdf エンタープライズ契約。Red Hat Enterprise Linux Developer Suiteがどの範囲で利用できるか厳密に確認したい人向け。この中に「開発目的」の定義が記載されています。