レッドハットの森若です。
みなさんがRed Hat Enterprise Linuxを利用してアップデートを行う時に、RHEL4までであればup2date、RHEL5以降のバージョンであればyumを利用しているかと思います。このアップデート配信時に利用されるサブスクリプション管理の仕組みが2016年現在は「Red Hat Network Classic(RHN Classic)」と「Red Hat Subscription Management(RHSM)」の2種類存在しています。
この2種類のうちRHN Classicのサービス提供が2017年7月31日に終了します。この日より後には、RHN Classicはアップデート配信ができなくなります。もしRHN Classicを利用してシステムを登録している場合はこの日までに移行をおねがいいたします。
これまでのサブスクリプション管理の変遷
RHN ClassicはRed Hat Enterprise Linuxより以前の2001年から提供されていました。15年ほどの非常に長い期間にわたって利用されていたため、特に仮想化環境への対応や、購入したサブスクリプションとシステムとの対応づけがされないなどの能力不足が目立つようになっています。
2011年から、RHSMという新しいサブスクリプション管理の仕組みの提供が始まりました。具体的にはRed Hat Enterprise Linux 6.1および5.7にsubscription-managerというパッケージが含まれ、新しいサブスクリプション管理の仕組みが利用できるようになりました。
2012年から2013年にかけて、RHSMがデフォルトに切り替えられていきました。RHEL 6.3、RHEL 5.9からは、インストーラで特に何も指定せずに登録した場合はRHN ClassicではなくRHSMを利用して登録されるようになっています。
2014年に出荷されたRHEL7では、(Red Hat Satellite 5を利用している例外的な場合をのぞいて)RHSMのみが利用できます。
Red Hat Subscription Manager とRed Hat Network Classicの比較
機能面で比較すると、RHSMはRHN Classicよりカバーする範囲が狭くなっています。RHN Classicでは、Smart Management アドオンを購入することで追加の管理機能が提供されましたが、RHSMではサブスクリプション管理とコンテンツ配信だけを行うことに特化しています。
RHN Classicをシステム登録だけでなく管理にも利用している場合は、管理ツールの移行もあわせてご検討ください。
Red Hat Subscription Managementと RHN Classicの機能比較
Red Hat Subscription Management | Red Hat Network Classic | |
システム登録 | ○ | ○ |
サブスクリプションの割り当て | ○ | ○ |
コンテンツ配信 | ○ | ○ |
設定ファイルの管理 | ローカルで実行する必要あり | ○ |
システムスナップショットの作成 | ローカルで実行する必要あり | ○ |
システムのキックスタート | Satellite 6 または他の管理ツールが実行。 | ○ |
スクリプトの実行 | Satellite 6 または他のツールが実行。 | ○ |
どのサブスクリプション管理を利用しているかの確認
現在利用しているシステムがどちらの仕組みで登録されているかを確認しましょう。
管理製品を利用している場合、その製品によりどちらの仕組みを利用しているかが決まります:
Red Hat Satellite 5をご利用中の場合、RHN Classicの仕組みで管理されていますがRed Hat Satellite 5のライフサイクル中は影響がありません。通常のサブスクリプションで2018年1月31日までご利用が可能です。
Red Hat Satellite 6 または Red Hat Subscription Asset Managerをご利用中の場合、RHSMの仕組みで管理されています。
RHELのバージョンにより決まる場合があります:
「RHEL 4の全てのマイナーリリース、RHEL 5.0から5.6までのマイナーリリース、RHEL6.0」のいずれかを利用している場合はシステム登録にRHN Classicが利用されます。RHEL4にはRHSMへ移行する方法がありません。RHEL5およびRHEL6については最新バージョンへの更新をお勧めいたします。
RHEL7を利用している場合、RHSMで管理されています。
どちらも利用可能なRHEL6.2以降、RHEL5.7以降の場合、“yum repolist” のようにyumコマンドを実行します。RHN ClassicおよびRHSMはどちらもyumのプラグインとして呼びだされるので、どのyumプラグインが利用されているかによって判定が可能です。
RHN Classicの場合: rhnplugin
RHSMの場合: subscription-manager
詳しくは以下のナレッジベースをご確認ください
システムのアップデートに RHN Classic と RHSM のどちらを使用しているかを確認するhttps://access.redhat.com/ja/solutions/1350833
Red Hat Network ClassicからRed Hat Subscription Managementへの移行
現在RHN Classicで登録しているシステムをRHSMへ移行するためのツールを提供しています。詳しくは以下「第12章 RHN Classic からのシステム移行」をごらんください。
Red Hat Enterprise Linux for Virtual DatacenterのようなゲストOSとしてRHELを無制限に利用できるサブスクリプションを利用している場合、virt-whoによるハイパーバイザの登録が必要です。
参考文献
- サブスクリプション管理ガイド http://red.ht/2aaKZdL
- Red Hat Network クラシック (ホスト型) の Red Hat サブスクリプション管理への移行 http://red.ht/2agx5BP
Red Hat Subscription Management の概要 http://red.ht/2b6p0oB