レッドハットの森若です。
2年ほど前にこのblogの記事で Red Hat Insights をご紹介しましたが、最新のバージョンでは計画的な運用を助けるために活用できる「Planner」という機能が追加されています。この記事ではRed Hat InsightsのPlanner機能を中心として、最近のアップデートをご紹介します。
計画的な保守の重要性
ソフトウェアに限った話ではありませんが、システムの重大な障害を予防するためには計画的な保守が重要になります。いわゆる「重大なシステム障害」のほとんど(Red Hatサポート部門の知見ではおよそ85%)は既知の問題が重要なシステムで発生したもので、既に他のシステムで発生していてなんらかの緩和策・解決策が提供されているものです。
最新の知見をもとに、問題が発生するより前に各種の対策を行うことができれば、重大なシステム障害の発生を大きく減らすことができるでしょう。
Red Hat Insightsとは
Red Hat Insightsは既知の問題がシステムに存在しないかをチェックするための情報を定期的に収集し、対策に役立つレポートを出力するSaaS型のシステム分析サービスです。主に以下のような情報を確認して、問題の説明や対策をレポートします。
- インストールされているパッケージ
- 設定ファイル
- ログ出力
- 統計情報
- ファームウェアバージョンなどの情報
- インストールされているサードパーティ製品
執筆時点でおよそ400種類の問題をチェックしており、この数は継続的に増えています。Red Hat Insightsをシステムの健康診断のように利用することで、多くの重大な障害を予防できます。
Red Hat InsightsのPlanner機能
さて、最近追加された Planner機能とは何でしょう?
これは非常に簡単な機能で、検出された多数の問題に対する対策から任意に選んだものを「Plan」と呼ばれるグループにまとめる機能です。
Red Hat Insightsで提示される各種の対策を実施するときには、対象となるシステムの特性や問題の重大さなどにあわせて作業計画を立て、それに従って作業を進めていくことになります。Plannerを使ってそれぞれの対策をPlanにまとめることで、あるタイミングで行う作業を簡単にまとめられます。
対策がAnsibleに対応していれば、Planごとに対策用のAnsible Playbookを生成する機能を持っています。検出される問題の中にはAnsibleで対応できないものも含まれる点にご注意ください。たとえば「ネットワークのチェックサムエラーがxx%発生しているので物理的な問題をチェックしたほうがいい」というような問題の対策にはAnsible Playbookは含まれません。
Planに登録された問題と対策はRed Hat Insightsに保存され、次回以降のスキャンでその問題が継続しているか、対策済みかトラッキングされます。これにより作業の抜け漏れを防ぐこともできます。