レッドハットの森若です。
今回はRed Hatのサポート窓口が提供するサービスのうち、あまり知られていなさそうなものをとりあげて紹介していきます。
システムのライフサイクルとサポート
システムのライフサイクルと、それぞれのフェーズにマッチするサポートのサービスをまとめたのが以下の図です。
レッドハット製品のサブスクリプションにはインシデント件数無制限の問いあわせ対応が含まれています。ここで何を問いあわせることが可能なのか、あまり意識していない方も多いかなと思います。
「Red Hatのプログラムに問題か問題らしい何かがあって、その対応が必要なときにバグレポートとか質問できるだけでしょ?」と思われているかもしれません。しかし問題が発生した時以外にもサポート窓口を活用することができます。
やりたいことができるか?の質問
新しいシステムを設計する際に、はじめて使うソフトウェアなどについて「自分がやりたいことが製品の範囲でできるのか、できるとするとどうやったらできるのか?」ということが気になります。このような時にもサポートへ問いあわせることができます。
たとえば以下のような質問に対応できます
- 「Apache httpdでwebサーバを構築して、あるタイミングで現在どれだけ接続されているのかを測定したい。そういうことってできますか?どうしたらいいでしょうか?」
- 「RHEL7.4のsambaでは xx という機能が有効になっていますか、それとも無効ですか?無効だとしたら同じようなことを実現する他の方法はありますか?」
アーキテクチャレビュー
いくつかの構築が難しい製品について「アーキテクチャレビュー」と呼ばれるプロセスが定義されています。サポート窓口でアーキテクチャレビューを申し込むことで、お客様が構築しようとしている、または構築したアーキテクチャのレビューをおこないます。
アーキテクチャレビューは以下を目的としています:
- 適切に動作しないことがわかっている構成や設定についての指摘と排除
- パフォーマンス上の問題につながる、注意するべき点の指摘
- お客様の構成のうち、サポートされる範囲とサポートできない範囲を明確にする
アーキテクチャレビューにSLAは適用されません。「x月x日までに完了します」というようなお約束ができない点にご注意ください。
以下に各製品のアーキテクチャレビューについてナレッジベースエントリのリンクを記載します。必要な情報や制限などが記載されています。
- High Availability add-on, Resilient Storage add-on
How can Red Hat assist me in assessing the design of my RHEL High Availability or Resilient Storage cluster? - Red Hat Customer PortalHow can Red Hat assist me in assessing the design of my RHEL High Availability or Resilient Storage cluster? - Red Hat OpenStack Platform
https://access.redhat.com/solutions/1441243 - Red Hat Virtualization
https://access.redhat.com/solutions/204063 - Red Hat Gluster Storage
Red Hat Gluster Storage 3 (formerly Red Hat Storage Server 3): Architecture Review Process - Red Hat Customer PortalWhen you are deploying the Red Hat Gluster Storage (formerly Red Hat Storage Server) in a private cloud and a public clo...
プロアクティブチケット
ユーザへの影響を少なくするため、土日や深夜にアップデートなどの作業を行うことがあります。対応するPremiumサブスクリプションを購入している場合、休日や夜間であっても(重要度により)サポート窓口で問い合わせを受けつけることができます。しかしいざ問題が発生してからケースを作成し、システムの構成、作業内容、各システムのsosreport取得と登録、障害内容などを記載するとどうしても時間がかかってしまいます。
プロアクティブチケットはこのような場合に便利な仕組みで、Premiumサブスクリプションを所有していてケースのやりとりが英語で可能な場合、作業前にサポートケースを開いておくことができます。あらかじめ情報を共有し、担当サポートエンジニアが対応の準備をしておくことで実際に問題がおきた場合の初動を早くすることができる仕組みです。
プロアクティブチケットは通常のWebでの問いあわせと同じ窓口で、以下のように登録します。
- 4営業日以上前にケースを作成
- タイトルの先頭にProactiveとつけてケースを作成(重大度は3)
- 例: [PROACTIVE] – RHEL 7 kernel update
- システムの現状および、予定されている作業についてできるだけ詳細を記載
- 日程・イベント予定
- 現状システムのsosreport
- お客様の連絡先
プロアクティブチケットについては以下のナレッジをご確認ください https://access.redhat.com/node/286633
まとめ
今回はRed Hatのサポート窓口で提供されている、あまり知られていないサービス3種類をご紹介しました。
「Red Hatの製品はがっつり使っていて、サポートにもよく質問するよ」という方でも知らなかったものがあるかと思います。ご活用ください。